( 京都市左京区・S様邸/2012-2021 )
野山の風景、自然の草花をこよなく愛するS様のお庭。
「お庭は、つくったときが終わりではなく始まり」と私はよくいいますが、
このお庭は、時間をかけて少しずつ手を加えながら
終わりも始まりもない自由な変化・進化・遷移をし続けている
のが特徴かもしれません。
毎年どこかにちょっとずつ手を加え、お庭がかたちを変えていくのも面白いものです。
ジンジャー、アイリス、ジキタリス、シラン、フィソステギア、
ヘメロカリス(ヤブカンゾウ)、コスモス、ホスタ、そして薔薇…
色々な花や宿根草が、季節を追うように自由に次々と咲きますが、
単なるイングリッシュ風のフラワーガーデンとも言い切れず。
枕木の花壇やラフな石だたみ、板で区切った畑といったアイテムは、
どことなく野粗で、日本の田舎のような懐かしさも感じます。
最初の年にお庭の中央に植えたアオダモは、年々のびのびと枝葉を伸ばし、
今ではこのお庭のシンボルとして、りっぱな木陰をつくるまでになりました。
アオダモのまわりには、ヤマハギ、ツツジ、コバノガマズミ、ダンコウバイ、
それにヤマユリ、シャガ、クサソテツ、スミレ、クリスマスローズ、
と少しずつ添えものが増え、
築山状になったこの一角が、気付けば“山の景”になっていました。
当初全くのさら地だったことを想起しますと、
お庭が時間とともに深みを増してきたことが大変感慨深く思われます。
畑の一角には、自然のままの雑草園と名付けられたエリアもあります。
ジシバリ、ネジバナ、源平小菊(エリゲロン)、金鶏菊、クサソテツ、
ヒルザキツキミソウ、花魁草(フロックス)、アスパラガス、
シロツメクサ、タンポポ、スミレ、ニラ、タカサゴユリ…
どこからともなく現れてしっかり根付いた、力強い野の草たちも、
このお庭にくれば、りっぱに一風景としての役割を担っています。
実はここ数年で、芝生は衰退しています。
でもその代わりに、苔やシロツメクサなどが繁茂してきました。
自然は正直なんですね…💦
これはこれで受け入れながら、育てていきたいと考えています。
S様の自然、そしてお庭への愛を感じる NATURAL GARDEN。
必要最小限の手入れをしながらも、
自然の摂理に逆らうことなく、
なすがままに醸成させていきたいと思っております。
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